へんずブログ

ひたすらに理想を見ていたい

【Your Song】Mr.children「重力と呼吸」発売「Your Song」MVのストーリーとステキさについて【To you】

2018.10.3

 

Mr.children約4年ぶりのNewアルバム

 

「重力と呼吸」が発売されました。

 

youtu.be

 

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アルバムに合わせてライブツアーも開催。

 

楽しみ過ぎる…!

 

今回のアルバムに関してのまとめと、私的感想になります。

 

 

Mr.children大好き人間による「重力と呼吸」について

1.アルバム収録曲

  1. Your Song
  2. 海にて、心は裸になりたがる
  3. SINGLES
  4. here comes my love
  5. 箱庭
  6. addiction
  7. day by day
  8. 秋がくれた切符
  9. himawari
  10. 皮膚呼吸

全10曲、計48分

 

 

 

2.ライブツアーについて

2-1.ライブツアー開催!!

アルバムに合わせて、ライブツアーの公演が公式HPにて公開されました。

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Mr.children Tour2018-19 重力と呼吸」

 

イエーイ!

 

10.6から広島を皮切りに、年明けには台湾でも開催されるようです。

 

2-1.セットリスト

10.6の広島公演を終えて、セットリストが固まっているみたいですね。

  1. SINGLES
  2. Monster
  3. himawari
  4. 幻聴
  5. HANABI
  6. NOT FOUND
  7. 忘れ得ぬ人
  8. 花-Memento-Mori-
  9. addiction
  10. dance dance dance
  11. ハル
  12. and I love you
  13. しるし
  14. 海にて、心は裸になりたがる
  15. 擬態
  16. World end
  17. 皮膚と呼吸
  18. here come my love
  19. 風と星とメビウスの輪
  20. 秋がくれた切符
  21. Your song

個人的に、7.忘れ得ぬ人、11.ハルが嬉しいですね。

アルバム収録曲ライブでしか聞けないような選曲。

これはぜひ生で聞きたい…!

 

3.「Your Song」のこと

3-1.歌詞について

YoutubeでもMVが公開された「Your Song」。

 

今作で1番聞いています。最高。

 

アルバムでトップに持ってきたこの曲を、

ライブでラストに持ってくるという神セットリスト。

 

どんな素敵さを見せてくれるのでしょうか。

「Your Song」については、MVの影響もあって、歌詞が心に刺さってきました。

 

花吹雪が舞うような

きらめく夏の陽射しのような

時は過ぎ

華やいでた想い出も

少しだけ落ち着きを取り戻した

 

君と僕が重ねてきた

歩んできた たくさんの日々は

今となれば

この命よりも

失い難い宝物

 

ふとした瞬間に同じこと考えてたりして

また時には同じ歌を口ずさんでたりして

そんな偶然が今日の僕には何よりも大きな意味を持ってる

そう君じゃなきゃ

君じゃなきゃ

 

苦手意識を持ってた

食べ物もスポーツも堅苦しい場所も

君が薦めるんなら無理なんかせず受け入れることが出来たんだ

 

時に僕が窮屈そうに囚われている考えごとに

なんてことのない一言で この心を自由にしてしまう

 

飛び込んでくる嫌なニュースに心痛めて

また時にはちっちゃな事で笑い転げて

一緒に生きていく日々のエピソードが特別に大きな意味を持ってる

そう君じゃなきゃ

君じゃなきゃ

 

ふとした瞬間に同じこと考えてたりして

また時には同じ歌を口ずさんでたりして

そんな偶然が今日の僕には何よりも大きな意味を持ってる

そう君じゃなきゃ

君じゃなきゃ

 

そう君じゃなきゃ

君じゃなきゃ

 

3-2.MVについて(出演者紹介)

2018.10.2に公開されたMVでは、「Your Song」の音楽を背景に、とある男女の恋のお話が描かれています。

 

www.youtube.com

「奇跡」の物語です。

 

出演は

学生を演じるのは「おっさんずラブ」で田中圭が好きだった

林遣都さん

「奇跡」の力を持つ女性役は、村上穂乃果さんです。

 

この二人の間にある「奇跡」とは何なのでしょうか。

 

一緒にMVを見た人が、内容をあんまり理解していなかったので

ストーリーを書いてみました。

 

 

長文になりますので、読む際はお気をつけ下さい。

 

 

 

4.「Your Song」の手記

 

「小さな奇跡が

日常にに溢れていたとしても、

それに気づくほどの心の余裕がなかった。

いつしか僕は、奇跡を求めることすらやめた。」

 

『小さな奇跡を

起こすことができても、

他人の運命を変えることはできないと知った。

そして私は、

奇跡を求める人の欲望に押しつぶされた。』

 

それでも人は、

否応なく、奇跡に出会う。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 彼は、電車に揺られ帰路についている。

 自宅の最寄り駅までの道のりは長い。

 大学で講義を十九時までこなし、その後のアルバイトで体力を絞り切った身体に、車内の揺れが心地よく響いてくる。

 目的の駅に到着する頃には、耳につけていたヘッドホンは重力によってずり落ちて、疲労によりだらしなく開いた口からは安らかな寝息が音を鳴らしていた。

 ドアの開閉ベルが鳴り響き、彼は現実に叩き起こされる。

 座席に深く沈んでいた彼の身体は、反射的に緊張し、自分のいる場所と今の時間を直感的に思い出す。

 彼は、重力に抗えない身体を筋力で無理矢理に起こして、ベルが鳴り止む直前で車両から飛び出した。

 揺れの無いホームに降り、安堵の表情を浮かべる。

 ただでさえ無駄な帰路の時間を、寝過ごしたせいで大幅に増やしてしまえば、精神的な疲労が更に溜まることなってしまう。

 そう思うと彼は、膝に手をつき一呼吸する。

 歩き出そうとした刹那に、安堵から一気に絶望へと転落した。大学の課題を入れた図面ケースが無い。電車は既に動き出し、次の目的地へと無常に進んでいく。

 意味もなく少し追いかけて見た視線の先に、座席に横たわる黒のケースがあった。

 今回で何度目だろうか。反省点が怒涛のように精神に差し込んでくる。

 何とかして眠気を覚まして、駅まで睡魔を我慢するべきだった。そもそもあの精神状態で、網棚に荷物を置くべきでは無かったのだ。

 小さな反省点は省みられても改善されず、小さな課題だからこそ次に繰り返すときにはきれいさっぱり失念してしまっている。

 

「またかよ…。」

 

 彼は呟き、諦めて改札へと向かう。次の終電で追いかけてもいいが、何処で拾われるかも分からないし、戻って来られないので後を追うことも出来ない。

 常に金欠と闘っている彼にとって、もちろんタクシーを使う選択肢など存在しておらず、弱弱しく歩を進めて、改札付近の事務所に忘れ物の存在を伝えた。

 業務的な手続きを終え、駅を出て帰路に着く。ふとした瞬間の些細なミスでも、彼の精神的負担は累積して大きくなっていた。どうして僕はこんなについていないんだ、と自問自答するも、当然返事は無い。

 毎日大学へ向かい、学費をアルバイトで稼ぎ、帰宅し課題をこなし一日が終わる。この繰り返しの必要性を感じなくなった時、彼は奇跡を信じる事を辞めた。

 期待するだけ損をした気分になるし、そもそも自分がついていたことなんて一度もなかった。帰路に着く彼の目線は下を向き、地面の景色が流れるのを見続けながら、ヘッドホンから流れる音楽に耳を傾ける。

 音楽に集中して、図面ケースに入った期限の迫る課題の存在を忘れようと努めた。

 

 同じ日。

 

 彼女は高層マンションのベランダであずきのかかったカップアイスを食べている。

 外気にさらされた観葉植物は、ビル風に負けて葉を大きく揺らしているが、傍に立つ彼女の伸びた黒髪は、まるで風が吹いていないように静かに靡いている。

 少女の瞳は深く沈み、視線の先に目標は無い。喧騒の街並を意思無く眺めながら、アイスを口に入れた。

 舌に冷たく染みこむ甘さを感じていると、玄関のドアが騒音に揺れた。高層ビルの静かさと相まって不快さを増す激しいノックの音は、彼女を一瞬にして緊張させ、また我に返させた。

 今度で何度目だろうか。連日押しかける週刊誌の記者や、”被害者”と自称する人物達が、彼女の自宅を押しかけ、ドアをけり殴り、馬事雑言をぶつける。

 半年前から続くこの現状に、最初は戸惑い、困惑し、音から逃れる様にベッドにもぐりこんでいた頃もあったが、その地獄のような日々にも慣れ、彼女は、そっと息をひそめ、上手く逃げる術を覚えていた。

 彼女は一つため息をつき、アイススプーンを目の前に掲げる。

 空に向けていた視線をスプーンに合わせ、力を込めて見つめると、ステンレス製のスプーンは、音もなく一回転半歪曲した。その歪さは、彼女の心情を現しているようだった。

 歪になったスプーンを、彼女は空に投げ、玄関の音が鳴り止むまで部屋で待つ。

 暫く静観していると、騒音は鳴り止み普段の静けさに戻った。

 彼女は外の様子を伺いながらドアを開け、人の気配がない事を確認すると、自転車にまたがり街中に漕ぎだした。

 当てもなく外に飛び出した。思考を停止して、気のままに何処かへ行くのが、彼女の現実逃避の手段だった。

 突如発現した自分の特殊な力に、まず自惚れたのは彼女自身だった。誰にも出来ない自分だけの力に興奮し、嬉々として人に見せびらかせた。

 当時、彼女の両親は優しくそれを受け入れてくれたが、メディアが注目し始める中で、両親の態度は一変していった。

 人に喜んでもらう為に自ら進んで披露していた力は、親に行動を強要されるようになり、自分の力が見せられなかった時には、父親は彼女を暴力で規制するようになった。

 

 奇跡を強要された彼女の表情は暗く、その中で行われる奇跡は、人々の目には暗く奇妙に映り、ある人が恐怖に駆られ、彼女を”魔女”と呼んだ。

 それから奇跡は輝きを失い、彼女の力は気味悪がられ、周りから避けれるようになった。彼女は絶望に打ちひしがれたが、それでも、自分の力を褒めてくれた、優しさの溢れる父親にすがろうと顔を上げた。

 だが、信じてくれていた両親の姿は無く、そこには、他人のように自分を蔑む父親がそこに立っていた。

 母親もいつのまにか、私の前から姿を消していた。

 彼女はその日から、これまでの生活から逃げ出した。家族と縁を切り、遠い場所に逃げる様に引っ越した。自分の稼いだお金をやりくりし、なんとか生活できるようになった。

 ただ、いまだに自分を囃し立てるメディアの目や、自分のせいで人生がダメになったと責任を請う人々がストーカーとなって家に押し寄せた。

 

 自分ひとりだけの世界で、生きたかった。

 

 通路に落ちた空き缶を器用にどかせて、彼女は自転車を走らせ駅へ向かう。急げばまだ、終電には間に合うかもしれない。

 

 

 駅から繋がる地下道で、彼は下を向き、歩きながら流れる音楽に耳を傾けている。

 駅へ続く地下道で、彼女は虚空を見つめ、音楽に耳を傾け速足で歩く。

 音楽が響く中心点で、二人は偶然に出会い、すれ違った。

 

 

 すれ違う時、お互いが避けきれずぶつかった。

 衝撃に二人はその場に倒れこみ、慌てて顔を見合わせる。

 ほんのひと時、二人は見つめ合っていたが、彼は我に返り立ち上がり、彼女に手を差し伸べた。

 

「大丈夫ですか。」

 

 彼の声に、彼女は黙って手を取り立ち上がった。

 軽いお辞儀をして去ろうとする彼は、自身の視界に彼女の顔が映し出されたその時、あまりの美しさに言葉を失った。

 美しい顔立ちに艶やかな黒髪が映え、整った眉の下に位置する瞳の色は、魅力的な反面、引き込まれる程に深く暗く濁っている。

 ただ、彼女は視線を感じながらも、彼と目を合わせようとしない。

 

「どうしたの。」

 

 彼は、彼女の憂いを気にして声をかける。目の前で手を開き、彼女の意識を確認するように動かしてみせた。

 彼女はようやく、気が付いたように彼と目を合わせる。

 

 そして、彼女はその時、彼に奇跡を感じた。

 それと共に胸中を襲う不安に駆り立てられ、感じた奇跡を否定するように、素早く彼に背を向け走り去った。

 彼は走り去る彼女の背中を見つめていたが、しばらくして、再び視線を落として歩き始めた。

 

 地下道では、まだあのメロディが鳴り響いている。

 

 彼女は、帰路でも彼を想い出した。

 彼との幸せな未来を感じては、それを頭の中から削除するように意識を紛らわした。

 奇跡を信じてはいけない、と思った。

 

 自宅の前に着くと、ドアに張り紙がまた張られている。

 以前に載ったゴシップの記事のコピー、”自称被害者”からの、赤のマジックで書かれた暴言、乱雑に張られたそれらを彼女は乱暴にはがし、鍵を開けて部屋に入る。

 心無い人々の攻撃は、既に逃げた彼女の生活に未だに影響を与えている。

 辛くて仕方がなかった。彼女が抱えていた小さな不安は、いつのまにか大きな苦しみに変わっていた。

 誰にも相談できず、一人きりで抱え続けるには、まだ若い彼女には限界だったのかもしれない。

 その苦しみを、彼女を攻撃する人々からの恐怖を、彼女は紙飛行機にして空に飛ばした。

 自分の叫び声を載せて、飛んで行くいくつもの紙飛行機。

 それは、誰かに届いてほしかったのかもしれない。

 もしくは、誰にも見られたくなかったのかもしれない。

 風に乗り、不自然なほど美しい姿勢のまま飛んでいく紙飛行機に、彼女は形にならない願いを込めた。

 その苦しみから、逃げることが出来ないなら、彼女は考えることを出来るだけ止めたかった。忘れることが出来ないなら、考えないようにしたかった。

  それでも、自分の真実を隠してでも、彼とまた会いたくなった。

 

 気持ちははやり、ある夜、彼女はまた外へ飛び出した。

 頭の中では、あの日聞いたメロディが流れている。

 

 彼はあの日からも、変わらぬ日々を過ごしている。

 同じ帰り道でいつも思い出すのは、彼女のことだった。

 何処かで会ったような気がしていた。

 美しく、儚くみえた彼女は、何かを伝えたいように感じた。 

 何かを訴えるような瞳には、同時に諦念の想いも含まれているように思えた。

 あの時、何も言わずに、僕を見つめたあと、走り去った彼女は、今何をしているのだろう。あの場所で彼はそう考えながら、コンビニで買ったアイスを咥え、地下道の壁に背を預けてしゃがみこんだ。

 

 二人が、お互いのことを想う時、再び小さな奇跡が二人を巡り合わせた。

 

 あの日、再び出会ってから、二人は何度も時間を共にした。

 待ち合せはいつも豊洲駅周辺にして、二人であの地下道を歩いた。好きなアイスをお互いに薦め合い、共通点を見つけては笑い合った。お互いが、ふとした瞬間に口ずさむのは、あの時聞いたメロディだった。

 

 彼は、何度も会ううちに、彼女の魅力に引き込まれていた。彼女の笑う顔が好きだった。慣れない中でもワザとふざけて、彼女の笑顔を引き出したりもした。

 一人の時間も、彼女のことを考えるようになった。

 そうすると、下向きの彼の視線は、自然と前を向いて、上向きに歩き出せるようになっていた。

 

 彼女にとってかけがえのない存在になった彼は、彼女の灰色の世界で唯一色を持ち、誰にも汚されたくない存在になった。

 彼は彼女の過去のことを知らなかった。彼の感情は、偏見もなく直接彼女の心に届き、純粋な気持ちに恥ずかしくもなった。

 同じ夜を過ごし、彼のことを深く知っていくにつれて、普段の彼がもっと幸せになるように願った。

 彼が、いつものように電車で寝過ごしてしまいそうな時は、指を鳴らして彼を気づかせてあげた。忘れ物も無くホームに降りる彼を感じ、彼女は彼の幸せを嬉しく思った。

 だからこそ、自分の過去は頑なに隠すようにした。

 自分の事を、彼にはもっと知って欲しかった。でも、自分へ向けられる他人からの敵意を、彼には知って欲しくない。

 彼を家に招くことは拒み、デートはいつも屋外と決めた。

 いつまでこの幸せが続くのだろうか。仮に自分の過去を彼が知ってしまったとして、彼はどんな反応をするのだろうか。考えるだけで不安になった。

 辛い気持ちを織り込めて、彼女はまた紙飛行機を飛ばした。

 時折彼女の心を占める恐怖や不安は、紙飛行機に載せて何度も空へ飛ばした。

 最後に紙飛行機を飛ばして、彼女はまた、彼を感じたくてあの場所へと家を出た。

 彼女の紙飛行機は、声にならない悲鳴を載せて空を舞う。

 

 彼は、彼女のことを考えていた。今この時間も、彼女も自分の事を考えていて欲しいと、笑みを浮かべて空を見た。

 以前とは違う、上向きに歩く彼の目に、弱弱しく動線を描く紙飛行機が目に留まった。

 その動きに何故か目を奪われた。どうしようもなく、あの紙飛行機の行方を知りたくなって、気づけば上を向いたまま走り出していた。

 必死になってたどり着いた場所には、数十の紙飛行機が不時着していた。

 彼はその一つを手に取り、開いて中身を見た。

 

 ーお前の超能力のせいで人生は狂った。

 ーお前は魔女だ。

 ー超能力なんか信じない。

 

 それは、赤字で書かれた誰かの敵意だった。

 その字のおぞましさに彼はぞっとしたが、次々と紙飛行機を開き始める。彼は折られたゴシップ記事を見て、ようやく思い出した。

 一年ほど前に、世間を賑わせた超能力彼女。スプーン曲げや未来予知、時には人の運命も操ってみせた。数々の奇跡をテレビで披露した彼女だったが、ある日の生放送で泣きながら奇跡を披露する彼女を気味悪がり、強く非難する大衆の映像が、全国に中継された。番組内で魔女と呼ばれ、戸惑う彼女をメディアは嬉々として映し出した。

 映像の中で彼女は、俯き泣いていた、と思う。

 誰もが注目していたニュースも、彼の中では他人事で、忘れた過去になっていた。だから、彼女の顔を見て思い出せていなかった。

 大量の紙飛行機を開いてみて、彼は彼女の現状を初めて知った。

不時着した紙飛行機の海の中で、歪曲したスプーンを見つけた。

 それは、間違いなく、彼の知る彼女のものだった。彼の心に、彼女への想いが溢れてくる。

 同時に、彼女の笑顔の裏にある真実を感じ、情けなくなって、恥ずかしくなって、涙が溢れそうになった。

 彼は、再び走り出した。彼女が自分をどう思っていても、彼の心は変わらなかった。

 

 初めて出会ったあの場所で、あの日のバンドの奏でる音楽を、彼女は一人聞いている。

 偶然のような出会いでも、彼女にとって彼は、奇跡を再び信じたくなるほど、大切な存在になっていた。

 二人で過ごした日々が、メロディと共に彼女の頭を巡り、幸せな気持ちなる。

 そんな彼女を後ろから抱きしめる人がいた。

 その手には、紙飛行機と、曲がったスプーンが握られている。彼女は、彼の手に握られているそれを見て、途端に涙があふれ出た。

 泣いて振り向いた彼女の言葉を待たずに、彼は彼女を再び強く抱きしめた。

 言葉もなく、強く抱きしめたかった。気付けなかった気持ちも、彼女が言えなかった想いも、全て受け入れてた。

 お互いが、同じ気持ちだと、伝えたかった。

 

 偶然の出会いも、今の彼にとっては大きな意味を持っていた。

 それは、彼の中で”奇跡”だと思った。

 

 奇跡を諦めた彼と、奇跡を拒絶した彼女は、これからも、二人で歩み続けると決めた。握られたスプーンは、気づくとまっすぐと伸びていた。彼女の気持ちを映し出されているような気がして、彼は少し嬉しくなった。

 

 

 それから暫く経ち、二人はまた、あの場所に立っている。

 大事な時に、流れていたメロディ。二人がふと口ずさんだメロディ。

 お腹を大きくした彼女は、彼に支えられながら、ギターケースにお礼を入れた。

 

 とあるバンドは、笑顔で頷き、その途端、薄暗い地下道は暖かい光に包まれる。

 流れていたメロディは「Your Song

 君の為の唄。

 気付くと二人は、暖かい光に包まれた、空の元にいた。

 二人の為に歌われたメロディは、暖かく二人を包み込む。

 バンドは最後にこう締めくくる。

 

 そう君じゃなきゃ

 君じゃなきゃ

 

 

 

 

 

最後まで読んでくれた方、ありがとうございました。